プロジェクト

複合汚染に対する微生物遺伝子応答の網羅解析による新規毒性影響評価技術の開発

最先端/次世代研究開発支援プログラム

環境を汚染する化学物質は急速に複雑化・多様化しています。地球レベルでの汚染被害に対応していくには、複合汚染物質の人間や生態系へ及ぼす影響をより総合的に検出し毒性影響予測を行う技術開発が必要です。環境中の微生物は汚染物質に対して、 無害化作用や防御機構を司る遺伝子を発現して耐性を示すことから、これら遺伝子群を 汚染物質の検出や毒性のバイオマーカーとして用いることができます。 そこで本研究では、 今後特に汚染被害の深刻化が懸念されているアジア諸国に焦点をあてて、 汚染による生態毒性の全体像を直接検出し、長期的影響を予測する新規手法を現場の 微生物資源を利用して開発することを目的としています。

微生物群集の化学汚染に対する応答と環境浄化機能の研究

社会のグローバライゼーション化に伴い、産業活動による環境汚染も地球レベルの 物質循環に影響を及ぼすようになってきています。例えば鉱山開発による重金属汚染や、 海底油田の開発による海洋の大規模原油汚染などは、国境を超えて多大な被害を及ぼ し大きな問題となっています。環境に排出された有害物質の浄化や動態には環境中の 微生物が深く関わっています。汚染環境中の微生物には、汚染物質を代謝して 無害化する機能を有する菌もいて、このような微生物機能を利用 したバイオレメディエーション技術による環境浄化も行われています。本研究では、 環境中の微生物生態系を調べ、有害物質の代謝に関わっている微生物や機能ゲノミクス 情報を使って、汚染物質の浄化や生態系へ及ぼす影響を評価する手法の開発を進めています。

  • モンゴル塩湖に生息する微生物群集の生態生理学

    炭酸塩湖はアルカリ性で高濃度の 塩を含む極限環境であり、火山活動に由来するヒ素等の有害元素が高濃度で 蓄積するケースが知られています。本研究では、天然起源によるヒ素等の 毒性微量元素を含む北モンゴルフブスグル県に位置する炭酸塩湖の微生物生態系を 解析し、ヒ素代謝に関与する微生物機能の同定とともに、機能ゲノミクス解析を 用いた群集レベルでの応答反応を調べています。

  • 高温環境に生育する微生物の生理生態学

    ヒ素等の有害元素は火山活動や鉱物からの 溶出などの天然発生源からも環境中に放出されています。アメリカの イエローストーン国立公園内には地質学的にもユニークな極限環境が多く見られますが、 そのなかでも高濃度のヒ素が検出された高温温泉群から、新規の高温適応ヒ素酸化酵素の 遺伝子を持つ好熱性菌群を特定しました。また、このような高温温泉に生育 する好熱性細菌群の特性や、同じ環境中に存在する他の菌群との相互作用について、 環境ゲノム情報をもとに解析を行なっています。

  • バイオレメディエーション エコロジー

    実際の環境汚染現場では多種多様な汚染物質が 混合で存在し、様々な環境因子と共に汚染浄化機能に影響を及ぼしています。 例えば温度の変化や土壌の種類等の環境要因は、汚染物質暴露後の分解活性や 微生物群集構造にどのような影響を及ぼすのでしょうか? 特に土壌生態系に注目し、 汚染現場の物理化学的変化や微生物変化、そして環境要因の相互作用を解明すべく研究 を進めています。